アンケート調査2：「地毛証明書」

　今回、新聞報道に基づいて、「高校生らしい頭髪」を目的にした、高校の生徒に自分の頭髪が地毛であることを証明する証明書の提出を求めている学校教育側の対応についてアンケートを採った。

Q.今後も「地毛証明書」は必要だと思うか？216票・5月15日～5月17日

必要だと思う　15%
必要ないと思う　70%　★
わからない他　15%

　というわけで、明らかに「必要ない」が上回った。アンケートはTwitterでとっており、若年男性層が多い。また若年層といっても有権者の年齢に達していない人もかなりいるため、現役の学生世代からは相当評判が悪いということになるだろう。

★「高校生らしい」はマジックワードになっていないか？

　原因としては個人的に「地毛証明書」についてなぜ必要なのかが説得的に提示されていないこともあるような気がする。そもそも、この証明書の根拠が「高校生らしい…」である。

　この「高校生らしい」という用語は現役時代にもたっぷり聞いたのだが、頭が悪いのか僕は最後までその具体的な意味を完璧に把握することが出来なかった。むしろ、生徒を管理規制するためのマジックワードではないかという疑念がわく。

　ひょっとしたら規範・ルール・道徳を守らせるためという発想もあるのかも知れないが、規範(あるいは道徳)というのは自ら様々な経験を通して学んで実践されるものであろう。人間関係や実際の事案への判断は、一般論だけで解決できないことは多いからだ。

★個性と自己表現

　また、教育のあり方からも疑問がないではない。仮に、教育をその人らしさを引き出して成長を促すことに目標を置くのだとすれば、画一的な「高校生として」という発想が馴染むように思えない。(現行教育基本法よりは改正前の発想の近いかも知れないので納得できないという人はいるかもしれない)

　加えて「その人らしい個性は重要だ」とするのであれば、そのための「自己表現(服装・頭髪諸々)」は擁護されるのが原則のはずだ。したがって、規制するには十分に納得できる理由がいると思う。

　しかし、頭髪云々だけで犯罪成立となるわけでも、非行が行われるともいえない。ましてや「高校生らしさ」という曖昧とした文言が規制を正当化する理由になり得るわけがない。確認だが、「子どもだから」も直ちに理由とは出来ない。世の中には「子どもの人権条約」というものが存在する。つまり子どもにも保護されるべき自由があるということである。

★まとめ

　というわけで、僕も地毛証明書は不要…というよりは、プライバシーなどにも関わるためむしろ証明書を出させるということ自体が「原則はNO」であるという立場である。もちろん、反証・反論もあるとは思う。僕の立場の是非はともかく、現役の学生への理解は広まっていないことが明らかになっている。

　もちろん、地毛証明書は必要だという立場はあり得るけれど、もう一度説得的な・納得の出来る根拠・理由を示して欲しいと思う。その時にマジックワードを使うのもやめて欲しい。「高校生らしい」ならその具体的な中身を示した方がいいと思う。その上で議論をしたいところだ。現役の生徒にとって納得の出来ない指導ばかりとなれば、学校教育への信頼はさらに落ちてしまうように思う。