参院選2019予想その4(序盤)

自民引き続き60議席超の勢い・維新復調し立民堅調

○概況

堅調な基礎票を持つ自民が再び60議席を超える勢いがある状況。さらに改選議席の過半数に到達する見込みで,改憲勢力での2/3を維持できる可能性がある。今回も野党は1人区で統一候補戦略を組んでいるが,先般の情勢からすると前回ほどの勝ち星は厳しく,2桁勝利は非常に厳しい情勢である。逆に自民は前回敗北を喫した1人区でいくつか逆転が見えてきている。野党は一人区で5議席程度にとどまりそうだが,東北は激戦区のため勝ち星を伸ばす可能性がある。

与党は自民がほぼ横ばいの得票を見込み,50議席台半ばを固めて60議席台に届く可能性が高い。70議席は厳しく,現有議席よりは減らしそう。選挙区は30議席台半ばを固めて40議席超を見込んでいる。複数区は安定しており,広島で2議席目も視野に入っており力強い。野党は2人区で自民に総取りを許す可能性も。比例も堅調で10議席台後半が確実。20議席を超える可能性もある展開だ。

公明は手堅い得票で堅調に議席を確保し,15議席弱までは伸ばしそう。選挙区は全員当選が視野に入り,比例区も以前ほどの勢いはないにしろ6議席はほぼ確実で現有7議席目に手が届きそう。

維新が復調している。大阪・兵庫で再び票を伸ばし,大阪では100万票以上,兵庫でも前回衆院選比例票を大幅に超える得票が見込まれ自民・立民・公明につづく得票数になる可能性が出てきた。しかし,大阪近辺を中心とした都市部とそれ以外では得票率に大きな差が出そう。選挙区では大阪で現職が優位に2人目も一歩リードし,兵庫でも現職がやや先行する。比例は他の地域の票数次第だが4議席はほぼ固め5議席目も圏内に入りつつある。合計7議席程度が有力で10議席をうかがう情勢で力強い。

野党は立民がさらに票をのばし,今回の選挙では選挙区と比例区合計して20議席に届く可能性が出てきており議席倍増が見えている。複数区で最低1議席ずつ確保できる地域が多い。東京では2議席目が当落線上である。選挙区では8議席が確実でさらに一人区でも競り合っている区がある。また共産とは京都で競り合っている。比例も10議席は有望でさらに伸ばす可能性がある。

国民は野党第二党を維持出来ない可能性が出てきた。合計で二桁議席の獲得がかなり厳しくなってきた。愛知・長野での議席獲得が有力視されているがその他の選挙区では競り合いとなっており,接戦区で落選が続けば大きく後退する可能性がある。比例も有力議員の地元では伸びる傾向があるが立民におさえられそうで、5議席が厳しくさらに減らす公算が強まってきている。

共産は基礎票レベルに留まり2012年衆院選の水準まで後退もあり得る。選挙区では,複数区で東京・埼玉・京都で当落線上に、東京は議席維持の可能性が十分ある。また、千葉・神奈川などでも僅差で追い上げている。比例区は複数区での支持獲得次第では1議席減でおさまる可能性がありそう。

社民・れいわ新選組は議席獲得の攻防に。野党系無所属は沖縄で1人が一歩リードし,東北で4人が接戦になりそう。その他も愛媛は競り合いの中をわずかにリードし,滋賀や新潟で激戦になっている候補がいる。

予想投票率:前回並み~やや低い


○複数区

東京・神奈川・大阪・兵庫で野党系候補混戦。自民は安定した戦いぶり。

北海道 自民2議席ややリード・共産急追

与党票と鈴木宗男個人票をあわせると自民候補2人で150万をうかがう。道知事を務めた高橋はるみが知名度を活かして一歩抜け出し,盤石。80万票を超える可能性も。立民は高めの支持率を背景に勝部が高橋に続いて当選ラインからリードを広げて優勢。自民の新人岩本が公明票や組織票を背景にやや先行する。共産畠山が急追するが無党派で支持を拡大できるか。


茨城 無風の選挙に

自民・公明で60万票以上の豊かな票田をもとに,上月が盤石。野党は分裂しており,立民と国民がそれぞれ30万票に乗せられるか微妙なところ。ただ,国民の現職が立民に移籍の上立候補しないというのである。自民も2人目の立候補をしていない。2議席目は小沼が大きく先行する。共産新人は厳しい。


千葉 豊田やや先行・浅野が追う

与党票であわせて120万を超える勢いがありそう。まず,石井が盤石だ。その次の長浜も支持基盤の固めて優勢。自民は票割りが心配な点。豊田はいまのところやや先行するが石井に票を取られており、無党派から支持が集まりつつある浅野に迫られている。


埼玉 共産伊藤と国民宍戸接戦

古川・矢倉が基礎票を背景に盤石で,新人の熊谷が立民の高い支持率を背景に優勢。最後の1議席が争いに。共産の伊藤は自陣の支持層と無党派層・一部の立民支持層を背景に順調な得票の上積みが見込まれる。国民の宍戸についても無党派や立民支持層からの支持獲得の可能性があり、両者が競り合うものとみられる。


東京 立民2議席目・共産・維新が接戦

丸川が盤石だ。山口も前回得票からすれば優位とみてよいだろう。自民は200万票近い予想得票を背景に,武見も60万票以上見込まれ一歩リードする。立民も比例では150万票前後をうかがう。塩村は知名度を背景に一歩リードとみてよいだろう。ここにきて,音喜多が維新から立候補。知名度を背景に急伸しており,最後の2議席は立民2人目の山岸・吉良・音喜多が競り合っている。この中では山岸が基礎票に厚く、吉良が無党派からの支持でわずかにリードしそう。音喜多は無党派で巻き返せるか。


神奈川 浅賀が激しく追い上げ

島村は自民の高い支持率・得票を背景に100万票を超える盤石さ。立民の牧山も堅調な支持率を背景に先行する。公明の佐々木は順当に行けば60万票前後でこれも先行。松沢は維新から立候補して知名度をいかしてわずかにリード。浅賀は堅調な基礎票を背景に激しく追い上げる。


愛知 4氏優勢

酒井が独走だ。大塚と田島はそれぞれ知名度と政党支持率を背景に堅調だ。公明の安木も優勢。


静岡 榛葉の再選なるか徳川と横一線

牧野独走。堅調な与党票を背景にトップ当選確実だ。もう1議席は榛葉と徳川横一線の争い。国民は支持率こそ低いが,榛葉は有力候補で粘り強い得票が見込まれる。反面徳川は無党派票をおさえての上昇が見込まれている。一歩も譲らぬ展開になりそう。


京都 増原・倉林横一線デッドヒート

西田が先行する。2議席目については,立民が高い支持率や無党派からの得票も見込まれるため新人増原に伸びしろがある。ただ,共産現職倉林は無党派や国民支持層からも得票が見込まれており堅調であるため、両者が横一線の争いになりそう。


大阪 維新2議席へ一歩先行

情勢が変わった。大阪W選挙で勝利した維新は東が盤石だ。公明杉久も先行している。自民は柳本が立候補しないため,太田のみの出馬。太田は自民票を背景にやや優勢。最後の1議席についてもW選の勢いで合計100万票台に乗せる維新新人の梅村が50万票を超えて一歩リードし,亀石と辰巳が懸命に追いかける展開を予想する。


兵庫 維新清水やや先行

自民の安定した得票から加田と高橋が優勢。立民の新人安田も前回衆議院選挙の比例票からすれば順調に伸びることが期待できるが,清水に勢いが有り,懸命に追いかける展開を予想する。


広島 森本・河合横一線

溝手が現職で優位だ。しかし,2議席目の情勢が変わってきた。自民が河合を2人目として擁立した。そうすると,自民・公明の票が60万票台に到達する見込みで,野党系の票が少ないために自民の総取りの可能性が出てきた。森本は現職としての票は持っているが,20~40万票にとどまる。森本と河合が激しく競り合う展開を予想。


福岡 3氏優勢

松山・下野・野田が優勢で,無風の選挙になるとみられる。



○1人区

自民過半で先行またはやや優勢。前回より与党が勝ちそうだ。野党系は3人が一歩リードあるいは接戦でも逃げ切る可能性が高い。ただ,当落線上ある選挙区が多いため,今後の情勢次第では,野党系も半数に迫る余地はある。

沖縄

県知事選挙の余波から高良が一歩リードで,安里が懸命に追う展開。


鹿児島

尾辻安定。


宮崎

長嶺盤石。


熊本

馬場優位。


佐賀

山下先行。


長崎

古賀が先行する。前回の参院選では10ポイントを切って接戦気味だった。白川は懸命に追っているが,このままだと横一線に持って行くにはやや距離感がある。


大分

磯崎がこれまで勝ってきたが,30万票に届いていないため,注目区。現時点では野党が統一候補を出しているため激しく競り合うとみる。無党派票が順調に伸びそうで磯崎・安達が接戦になりそう。


徳島・高知

高野先行。


香川

三宅先行。


愛媛

自民は候補を入れ替えてらくさぶろう氏を擁立した。野党側は引き続き永江氏。前回は永江氏が横一線まで詰めたが,このほどの情勢では自民現職がややリードする可能性が高かった。今回は現職立候補見送りによって情勢が変わってきた。永江は知名度で上回りわずかにリード。


山口

林盤石。


鳥取・島根

舞立先行。


岡山

石井がやや優勢。立民の堅調な支持率を背景に,原田が激しく追う展開。無党派層の動きによっては競り合いになる可能性も。


和歌山

世耕安定。


奈良

堀井が優勢。西田は野党票をまとめて迫れるかどうか。


滋賀

嘉田が統一候補として出馬する公算が強まった。与党票が多い地域ではあるが,嘉田の知名度があるため無党派層で大きく先行するも支持層を固めきれるか。二之湯と嘉田が横一線で並ぶ。


三重

吉川と芳野が一歩も譲らぬ展開。芳野は無党派でリードしており、今後も堅調に票が伸びそう。なおも吉川は支持層を固めており力強い。前回も与野党が僅差の戦いを見せており今回も同様に激しく競り合う展開もあるだろう。


岐阜

このところ自民が安定した戦いをしているが,予断を許さない。過去の政党得票データもあわせてみると大野が順調に得票を伸ばすも梅津が伸びて競り合う可能性がかなりある。


福井

滝波盤石。


石川

山田安定。


富山

堂故盤石。


長野

衆院選では野党側に過半の比例票が集まった。これを背景に,羽田がややリードし,小松が懸命追走する展開。ただ,比較的僅差で決まる傾向が強く情勢は変わる可能性も。


新潟

与野党がほぼ五分の比例票になっている。前回参院選と知事選は野党が昨年の知事選は与党がとり,衆院選では小選挙区で激戦となっている。風間が降りたことで塚田が有利になったと見る向きもある。しかし,塚田の活動からすると,それは早計だろう。塚田・打越横一線。


山梨

前回の参院選や衆院選の結果などを踏まえても与野党の票差は僅差である。現時点では森屋がわずかに先行しそうだが予断を許さない。


群馬

原盤石。


栃木

昨年の衆院選などの結果も考えると高橋が先行する。立民の加藤が激しく追うがどこまで接戦になるのだろうか。


福島

共産も含めた野党票が比較的多く,森と水野が競り合う展開を予想する。


宮城

与野党の基礎票が拮抗する。このままの情勢であれば愛知と石垣が競り合う。


山形

前回は舟山が圧勝したところ。しかし,基礎票を見ると与党票が目立つ。現時点では芳賀と大沼が横一線に並びそう。


秋田

中泉が現職。ここに寺田議員の妻が立候補して知名度を武器に迫る。寺田・中泉が激戦だ。


岩手

平野が知名度を武器に戦いそう。現時点では横沢と平野の勝敗の予想は困難だ。


青森

滝沢がやや優勢になりそう。小田切が懸命に追う。


○比例区

自民リード・立民が懸命に追う

自民は2000万票近い得票予想を背景に,18議席程度を固めて20議席に迫る勢いが有り堅調だ。公明党は,前回の7議席維持も視野に入る情勢だが600万票以上の獲得と6議席は確実。維新はW選挙により回復し引き続き3議席が確定で4議席も手中に収め5議席もほぼ圏内。関西で得票を伸ばし500万票を超えてくる可能性がある。立民は,衆院選の希望の党やその他野党の票を一定程度取りながら上昇を続け1500万票に近づいていきそうだ。10議席以上は有力でさらなる上積みが見込まれる。国民は票が伸び悩み。有力候補もいるため一定程度は確保するとみられるが,最大でも4議席程度にとどまりそう。得票は500万票に届かない可能性がある。共産は,前回より厳しいが3議席を固め4議席目が有力になりつつある。得票は400万票以上を見込む。社民は1議席死守の攻防になりそう。100万票に届くだろうか。れいわ新選組は中年層の無党派で支持が集まりつつ有り,社民を差し置いて議席獲得の可能性がある。

無党派票の分散状況によっては,得票数が変わる。100万票動けば1議席の当落が入れ替わりうるだけに目が離せない。


○合計予想

自民(選挙区35~43~48+比例区18~19~20=53~62~68)
公明(選挙区7+比例区6~7~7=13~14~14)
維新(選挙3~4~5+比例区4~5~5=7~9~10)
立民(選挙区8~10~12+比例区10~12~14=18~22~26)
国民(選挙区2~3~4+比例区2~3~4=4~6~8)
共産(選挙区0~2~3+比例区3~4~5=3~6~8)
社民(0~0~1)
野党系(1~5~10)
その他(0~0~1)


※今後の情勢変化について

もちろん新たなニュースが飛び込むことによっても変わりうるが,投票率がひとつの鍵になりそうだ。投票率が上がる場合,投票への常連層ではなく無党派層が増えやすい。各種調査を見る限り,無党派層については立民・共産・社民・れいわ・国民の合計が自民と公明のそれをやや上回っている。もちろん,投票に行く人の割合に直ちに反映はされないが,この数字を目安とする限り投票率が上がると一人区で自民競り負け・野党競り勝ちの選挙区が増えるとみている。新潟・秋田・宮城・三重・滋賀・大分あたりが注目区になりそう。反面投票率が50%切る場合,自民が一人区をほぼ総取りする可能性もある。

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