残念ながら、悲劇はまた起こってしまった。
コンサート会場付近で起こったテロ事件で20人以上が犠牲になった。極めて残念である。
ヨーロッパではテロ事件が度々起きており、警戒がなされている中で起きたものであり、衝撃も非常に大きいと思われる。
ところで、日本では昨日「共謀罪」法案が衆議院を通過した。このテロ事件を背景に「早期成立を」という意見が出てきそうだ。しかし、僕はこのテロ事件を背景に「立ち止まった方がいいのでは?」と申し上げておく。
日本では、オウム事件以来大規模な「テロ事件」はなかなか起きていない。確かに池田の殺傷事件や障がい者への殺人事件も起きている。これはこれで防がなければならないが、「テロ事件」と分類すべきかどうかは別問題であろう(今回は念頭に置かない)。
逆に、ヨーロッパではテロ事件は複数起きている。シャルリーの事件も記憶に新しい。風刺に疑問を感じないわけではないが、そこで暴力で押しつぶす動きに賛同するのは筋違いである。こうした経緯から、テロ対策立法は進んでいる。
しかし、こうしたテロ対策立法をしても、テロ事件が跡を絶たない。中には共謀罪のような刑罰を入れている国すらある。これらが意味するところは、これでは対策(特に刑罰)が足らないか、これだけ対策をしても防ぎようがないかのいずれかである。
前者であれば、さらなる立法措置(刑罰)をとることになるだろう。とはいえ、既に個人の内面を過度にのぞくことになるという弊害が現時点で指摘されている。
個人の内面をのぞかれることをたいした弊害に感じないかも知れないが、他者によってあるいは権力によって内面をコントロールされるということである。自ら所属するコミュニティーが誤った判断をしてもそれを止めることは不可能になる。つまりそれが戦争(特に負け戦)や虐殺であった場合は自殺行為になる。つまり自分の生命を奪われかねないことがあり得ると考えるべきである。
その上、次の立法措置が完全にテロの脅威を防ぐかどうかの保証は直ちになされない。そう考えると、刑罰による立法には限度があるように思われてならない。
「早期成立を」と思うかも知れないが、冷静に考えたい。強力な立法で他の国がテロを防げたのか。もしも防げていないと評価するのなら、この法律を今の国会で通す意味はないと思う。
また、国連にいる人物から捜査権力をコントロールする措置が足らないという指摘も受けている。このままではTOC条約のために他の条約違反の疑念を生みかねない点、本当に国際社会から疑念を持たれれば本末転倒である。
最終的に立法するにしても、指摘されている弊害を排除できる具体的な制度を入れなければはじまらないだろう。仮に今回の法案が必要だという立場に立っても、付則程度の修正では足りないのではないか。そうすれば、一度法案を完全に作り直さなければいけない。共謀罪賛成論に立ったとしても、やはりこの国会で成立させる必要はないと思う。
ここで、慎重論に立つと「事件の政治利用」だというかもしれないが、それを言い出せば「早期成立」の理由に持ち出すのも「政治利用」になってしまう。政治利用かどうかという議論ではなく、実質的な議論がなされて欲しい。
最後に、「民族」同士での分断を煽る主張が多々見られる。「融和」の意見が出ないことに憂慮を覚えている。分断を煽る限り、紛争やテロの動機を根本からたつことはできない。今の日本で行うべきは短期的な現実との帳尻合わせではなく、長期的な取り組みだろうと思う。
また中東地域では不用意と批判のある軍事介入も欧米によってなされてきた。そうした犠牲者にも目を向ける必要があるように思う。
※国連特別報告者についての位置づけを問う議論があるようだ。形式的には個人という主張はひとまず排除するものではない。しかし、海外の専門家から疑義が出ているということの証拠にはなる。また、この件が人権理事会に上がれば、「国際機関が(残念な意味で)関心を持っている」という事態に発展するという点は指摘しておいて良いだろう。個人だからといって、そのまま額面通りに考えるのはちょっと危ないと思う。
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