3日目 大回り
翌日だった2014年12月19日。その日の起床も午前5時だった。装備をまとめて、旭川駅に戻る。今回はラーメンを食べる時間もなければ、ペンギンで有名な某動物園に行く時間もない。早速、昨日決めた大回りルートをたどる。
つまり、当初予定していた旭川→上川→遠軽→北見ルートは雪による運転見合わせで使えない。なので、旭川→富良野→狩勝峠→帯広→釧路で道東へ出ようというのである。これは、昨日時刻表をみて編み出した代替案である。
午前6時前に旭川駅を出発した。当時の富良野線始発列車だったはずだ。冬の日の出は遅い。美瑛付近でようやく窓の外の様子が少しわかるようになった。ここでも高校生が乗車してくる。
正直言って、2日連続の早番でしかも夜の到着はそれなりに遅かった。昨日も結局宿に入ったのは22時前後だろう。まだちょっと眠いのだ。
でも、その眠気はあっという間に吹っ飛んだ。
雪原の向こうから朝日が姿を現した。明るい光に目が覚め、そして雪原からという構図の新鮮さもあってその様子をじっと見ていた。多分予定通り石北ルートでいっていたら見られなかった光景だと思う。旅行ならではの、巡り合わせだと思った。どこか気分も良くなってくるような感じ…この時の朝焼けは今でも鮮明に覚えている。
※実は暗かった関係であんまり見えていなかったのだが、本当は十勝岳のほうから日が昇っている。とはいえ、山まで遠いので車窓からは雪原の向こうからのぼってきたようにみえることもあるだろう。
富良野についた。すっかり朝だ。ホームに降り立つと雪を踏むときに「キュッ」と独特な音がした。こういうときは僕は-10度近くまで下がったと判断している。紛れもなく、真冬の雪国の朝だった。
*
残念ながら画像は残っていないのだが、ここから狩勝峠を越えて新得へ出た。途中の信号場で、上り普通列車と特急スーパーおおぞらを待ち合わせたように記憶している。15分くらいは停車していただろうか?
とにかく、天気は完全に回復したようである。青空が広がっていた。そのまま平地へ下ると新得→十勝清水→芽室と進んで帯広に到着した。
帯広からは釧路行きの普通列車に乗り換えである。
15分ほど時間があった。そのすきに一旦改札を出て噂の豚丼を仕入れに行く。駅ナカに目当ての店はあった。早速オーダーをする。ところが、オーダーしてからできあがりまでに5分以上かかるという。残り時間を考えると結構ギリギリである。
とはいえ、そこでリスクをとるのが一人旅の醍醐味である。ゲットした時点で2分程度あれば大丈夫だろうという素晴らしい発想で、結局オーダーしたのである。
その結果、間に合った。駅弁みたなもんだから、列車が出発してから空けようと思った。熱々でかつ列車に乗ったのは出発数分前。出発してからでもじっくり楽しめる。
豚肉の脂身がやわらかくおいしい。そこに香ばしいタレがそれを引き立てている。そんな忘れない味だった。未だに駅で買った弁当トップ3のマイリストに入っている。
食べ終わってウトウトしているうちに列車は太平洋側へ進んだ。昨日は増毛から日本海を拝んでいたというのにこの打って変わってという感じが何ともいえない。途中駅でおおぞら6号を待ち合わせた。
澄み渡った青空だ。僕は途中下車したわけではない。その列車の乗務員さんの「待ってるから写真撮ってきたら?」という提案に乗っただけである(笑)ローカル線ならではの(ひょっとしたら今はダメなのかも知れないけど)、粋な計らいというものである。
実は根室本線の新得から先は乗ったことがなかった。釧路まであっという間に乗りつくしメーターが積算された。本当は石北経由だから、後で乗るつもりだったのだが先取りだ。
釧路からは先に釧網本線へ行く。冬の釧路湿原だ。実は2013年秋にもいっているので釧路湿原はこの当時2度目である(その後現時点までさらに2度いっている)。
この日は天気に恵まれた。そして、沿線にタンチョウが姿を現した。実はタンチョウをこの距離で見たのはこの時だけだ。
既に午後2時は過ぎて、日が傾いてきているのがよくわかる。今日の目的地だった川湯温泉には15時30分過ぎについたように記憶している。
川湯温泉までは2キロほど離れている。バスがあるのだが事前に調べてもいまいち時刻がよくわからなかった。結局バス停の時刻表を見ると2時間弱待たないといけないようだ。そんなことをしていると凍えてしまうと思ったので、何とか日没までにつこうと歩くことにした。
しかし、結局途中で日が暮れてしまった。町明りもなく、本当に日が沈むと同時に真っ暗になった。遠く見える街灯だけが頼りだった。
それを目指して黙々と歩いてようやく温泉街にたどり着いたのである。
(次回に続く)
しらさぎのコメント保管庫
@7M_shirasagiのなんかまとめてコメントするための雑記帳です。 不定期にアンケートコラムや鉄道旅行の連載を行います。
0コメント