第48回衆院選予想Vol.4:自民堅調・野党統一候補競る

さて、終盤に入った。ここでもう一度予想を更新しておこう。

概況としては自民公明は堅調である。希望の党は失速が止まらず、投票日までに今の予想からさらに転落する事態もあり得る。立憲民主は比例で順調に伸びている模様。共産は立憲民主に無党派票を取られているが下げ止まったとみる。

自民 270~299~327 (比例68~71~73/小選挙区202~228~253)

公明 33~34~35 (比例25~26~27/小選挙区9)

希望 32~41~51 (比例25~27~29/小選挙区7~15~22)

維新 15~19~23 (比例12/小選挙区3~7~11)

民主 29~38~48 (比例27~29~31/小選挙区3~10~17)

共産 9~11~14 (比例9~11~13/小選挙区0~1~1)

社民 1~1~2 (比例0~0~1/小選挙区1)

野党統一無所属 5~9~13

その他無所属 8~10~11


自民・民主は前の予想より微増で、共産・維新・公明が横ばいだ。希望はさらに下がった。

自民+公明+維新で3分の2を超えることはほぼ確実で2018年に改憲発議がなされる可能性は極めて高い情勢になっている。ただ、リベラル勢力は立憲民主が伸びたことにより、立憲民主・共産・社民+野党統一を掲げる無所属候補で51議席を上回る勢いが出てきた。リベラル勢力で引き続き予算付法案や不信任決議案を衆議院に提出できる公算が強まっている(しかし、臨時国会の招集を要求する権利は失う見込みである)。


それでは小選挙区の当落判定を見ていこう。

とはいえ全部示すのは大変である。自民・公明やや先行~先行・安定・盤石となっている選挙区は省略している。自分の選挙区が以下になければ「ああ、自分ところは与党優勢なんだなあ」と思って欲しい。(※統一候補=3野党(民共社)統一の無所属候補)


北海道

民主やや先行=8区 ※

民主・自民競る=1・3・6区 ※※※

自民・民主競る=4・5・11区 ※※※


東北

宮城5区・福島3区=無所属先行

岩手3区=統一候補やや先行 ※

福島1区=統一候補・自民競り合い ※

岩手1区=希望・自民競り合い

福島4区=自民・希望競り合い


北関東

統一候補・自民横一線=栃木2区 ※

民主わずかに先行=埼玉5区 ※

希望・自民横一線=埼玉6区


南関東

無所属先行=野田・江田

希望やや先行=神奈川9区

民主・自民横一線=神奈川12区 ※

自民・無所属競り合い=神奈川4区 ※


東京

自民・希望競り合い=10区

民主・自民競り合い=7区 ※

自民・民主競り合い(肉薄猛追含む)=1・2・18区 ※※※


北陸信越

新潟

1区=民主・自民横一線 ※

2区=無所属・自民競り合い

3区=統一候補・自民競り合い ※

4区=統一候補・自民横一線 ※

6区=自民わずかに先行・統一候補肉薄猛追 ※

長野

統一候補やや先行=1区※・希望やや先行=2・3区


東海

岐阜4区=自民わずかに先行・希望肉薄猛追

静岡=5区・希望先行/6区・希望わずかに先行

三重=3区・無所属先行

愛知

3・5区民主やや先行 ※※/2・11区=希望やや先行/12区=無所属やや先行

7区=自民・統一候補横一線 ※/8区=無所属・自民接戦

9区=自民・希望横一線/13区=希望・自民競り合い


近畿

京都=2区無所属先行/3区希望わずかに先行/6区自民・希望競る

奈良1区&和歌山1区=希望・自民競り合い

大阪

維新やや先行:1・17・19区

維新・自民競る:15・18区

自民・維新競る:・4・8・9・12・14区

民主・自民・維新三つどもえ:10区 ※

無所属・自民・維新三つどもえ:11区 ※


中国地方:広島6区のみ自民・希望競る

四国地方:香川2区・希望やや先行/愛媛3区=自民・希望横一線


九州以南

佐賀1区・無所属やや先行 ※

長崎1区・自民・希望競り合い

大分1区・自民わずかに先行・希望肉薄猛追

沖縄1区・共産・自民横一線 ※

沖縄2区・社民先行

沖縄3区・無所属先行

沖縄4区・無所属やや先行 ※


ざっと30近く「※」を打ったところがある。これらは共産党(沖縄1区は社民・民主)が擁立を見送った箇所である。それでも楽な戦いをしている選挙区はほとんどない。

共産票を差し引くと現在「やや先行」だったところは競り合い・競り負けの恐れのある激戦区になっていただろう。現在「競り合い」だった箇所は、共産票がなければ当落線上からも転落して箸にも棒にもかからないような悲惨な状況になっていたところである。

一部で「野党共闘は不発論」が聞えてくるが、こうして整理してみると野党共闘の影響で30議席が動こうとしているのだから与党陣営でも影響を過小評価すべきでないことがよく分かる。ちなみに、これがなければリベラル勢力は予算付法案や不信任案の提出権すら失い泡沫勢力になることが確実だったのである。また、民進が分裂していなければさらに動く可能性のあった議席数は伸びていたはずである。

共産が身銭を切った結果である。それは単にお人好しだったというだけの話ではない。今述べたような深刻な事態を鋭く読んでいたというだと思う。彼らにとって最悪の事態を避けるという意味では合理的な「生き残り戦術」だったのでありこちらの側面が強い。

とはいえ、リベラル勢力の減退がとまったわけではない。若い世代は6割程度が自民である(もちろん次の若い世代がリベラル・左派に行かないという保証はないが)。長期的な低落傾向は意識せざるを得ない。また、立憲民主は共産や社民の票を得て育っている。共産や社民の議席減の分は差し引いてかんがえなければいけない。またリベラル票の合計数は1000万票をちょっと上回る程度だろう。自民・公明・維新で2500~3000万票くらい行くことからすれば大差である。


総選挙後は改憲論議が加速していくことだろう。ただ、「変えること」だけが先行すると整合性のとれない条文案が出てきたり、解釈に幅が残るような曖昧な条文案で国民投票することになりかねない(あの9条でも何通りの解釈が提唱されているか調べてみるといい)。仮にそうしたもので改憲を達成しても後々政治や社会の混乱を招く可能性も否定できないし、かえってリスクを招く可能性は当然ある。

必要性があるという議論と条文を整えるという技術的な議論の両方を通過してはじめて改憲案といえるものになることは指摘しておきたい。それは、状況によって改憲に賛同する場合でも賛同しない場合でも同じことである。



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