京都府知事選の雑感

いやあ、もう書くまでもないと思っていたのだが、書くまでもあるような状況になってしまったので書く。日本語として破綻しているけど察して欲しい。

○「安定」という用語

京都府知事選は、ツイートで「政府与党系の西脇が安定」という趣旨のツイートをした。確かにそのままゼロ打ちで当確したので予想として外れていないと言えば、そう言いつのることも出来なくはない。

僕は、昨年の衆院選でも「先行・やや先行」といった用語を使っている。「安定」も似たようなものに思うかも知れない。しかし、僕の中では「先行」・「安定」は全く違う意味で使っている。その違いこそ鍵である。

○用語で示す「差の程度」

あくまでも僕の使い分けだが、安定（盤石という用語も今後使用するかも知れないが）は、もうとある候補が圧倒的な大差を付けて絶対に揺るがないと見ているときに持ち出す用語だ。この文字を出したときは「某候補の勝率は100%かつ圧倒的大差がついている」と僕が考えているとみて欲しい。

京都府知事選に当てはめると、政府与党系・西脇が共産系・福山をダブルスコアかそれ以上で引き離しての当確とみていたのである。ダブルスコアを得票率の差で表すと33ポイントだが、それかそれ以上の差の開きをイメージしていた。これが「西脇安定」に込めた僕の予想である。

先行というのは、ゼロ打ちで当確が出てもおかしくないくらいの差がついていると判断したときに繰り出す用語である。ダブルスコアまで差がついていなくても、当確になりそうなラインは存在する。それを上回りそうだというときは「先行」と書いている。つまり、「安定」と書くほどは差がついていないということだ。

やや先行となると、ちょっと頼りなくなってくる。ある程度差がついていて、優勢だろうとみてはいるが、含みを持たせた方がいい条件があるとか「先行」といえるほどの差ではないかとかそういったときに持ち出す。

ちなみに、やや先行より頼りなくなってくるのは、「激戦」「競り合い」「接戦」「一歩も譲らぬ」といった表現。ここまで来ると、さすがにリードしている人が「絶対に勝利」とはいえなくなってくる。それでも強引にこの人が勝利するといいたければ「わずかに先行・リード」なんて書いたこともあるけれど。

○予想が外れた

僕の「安定予想」には両候補の得票を想定することが重要である。

西脇は与党以外にも立民・希望・民進の与野党相乗りの構図だった。京都の立民など民進系の共産嫌いは有名で、今回もその「伝統」に沿ったもの。相手が共産系の候補のため、立民の支持者もそれにあわせて「共産嫌い」の投票行動になるとみた。無党派についても共産単独で制するとするのはさすがに難しいという判断があった。

そうすると福山は、共産を固めて、無党派で何割か獲得出来るとしてもせいぜい得票率20～30%くらいに留まる判断していた。残りを西脇とすれば、ダブルスコアの差になるのはほぼ確実という判断だった。

ところが、蓋を開けてみれば、12ポイントしか差がついていない。「安定・40ポイント以上の大差」と書いてしまったのが事実上かなり外れてしまったことになる。

確かに、12ポイントなら抽出調査の結果如何ではゼロ打ち出来る可能性はあると思うのでそれくらいの差はついているという前提だ。しかし、無党派層で西脇が取りこぼし（NHKのグラフを見ると福山が逆転したように見える）、立民や希望・民進が支持層を固めきれず福山に合計で10～15ポイント流れてしまったのである。

○立民選択を誤ったか？

出口調査を見比べる限り、今回判断ミスをしたのは立民。確かに、情勢調査でも「自民と立民の相乗りはおかしい」という声が多いとの結果が出ていた。立民は、政治家やその近辺の事情でそういう対応になった（かつ府民も同意見だと思ったのかも知れないが）ようだが、支持層を割ってしまった。これが今後政党支持率自体に影響するかどうか見極めなければいけないだろう。

なお、この情報が入った時点で少なくとも無党派では西脇・福山激戦あるいは横一線として判定を「安定→先行」に修正する余地はあった。とはいえ、福山陣営から「知名度が…」という嘆き節。それまでの僕の予想に合致する嘆き節だったので、結局修正はしなかった。

やはり選挙戦術的には、自民は盤石だ。組織固めも上手い。残念ながら野党はあまり得意ではない。僕は特に共産が一本調子で下手だと思ってきたが、このところの状況を見ていると「やっぱりこの考えは修正すべき」と思ってしまうのである。

ちなみに立民が福山を推薦・支援しても僕は西脇はそのまま勝利したと思っている（それくらい与党は盤石）。ただし、さらに両者の差が詰まって「激戦・競り合い」と呼べるくらいにはなっていた可能性が高いと思っているし、寝ていた無党派層が投票所に現れたら「横一線」に近い状況もあり得たとは考えるところだ。

ともかく与党は勝利し、立民は相乗りが裏目に出た。安倍政権には追い風かも知れない。ただし、条件によっては共産系でも迫られるということを忘れなければという条件はつけたほうがいいかもしれないが。